毎日は繰り返し。だから繰り返していることで成果が決まる。

前回のお話のなかで、幼児期の満たされていない欲求を、無意識の内に似たようなジチュエーションを再現して欲求を満たすお話をしました。


この話には、ふたつの重要な問題が潜んでいます。


ひとつは、再現性
もうひとつは、メリット(見返り)


「再現性」と「メリット」は、人生を決定づけるキーワードです。人間がすることなので、ビジネスでも、集団においても、命運を決定づける要素として影響します。

アサーションで成果を求めるなら、アサーティブ名繰り返しが実行されている必要があります。ノンサーティブな行動が繰り返されていたら、いくらアサーションの知識があってもアサーションなスキルはないのと同じです。


再現性とは、繰り返し何度も行うことです。
成果をあげるのに必要なことが繰り返し行われるほど成果はあがります。
成果に関係のないことに繰り返し時間を使うと、成果は遠のきます。


再現性の典型がルーチンワークです。
たとえば新店舗展開が著しい会社があります。どうしてあんなに店舗開発が進むのか、儲かっているのかなと疑問に思います。確かに資金力もありますが、ぞれ以上に店舗開発をルーチンワークしていることで可能にしています。
出店の勢いと収益性のバランスを崩して失敗することはありますが、ルーチンワークにしてしまえば店舗開発そのものは難しくないのです。
逆に収益性が良くても、店舗開発をルーチンワークから外すとなかなか進まなくなります。


人間は、意識していることをします。
人間は、得意なことをします。
人間は、関心の高いことをします。
必要なことがこのなかにあれば、成果はあがります。
必要なことが入っていないと、困ったことになるのは明白です。


人間の行動には、もうひとつ重大なキーワードがあります。

人間は、メリット(見返り)のあることします。

ですから、企業活動のなかに、自分にとってメリットのある行動がないと、行動が起こりません、


会社で働いている人のメリット(見返り)と言うと、なにが浮かびますか。
給与、昇級、福利厚生、やりがいなどが浮かびます。
しかし、それだけではありません。
ビジネス脳では、想像もしていない見返りを求めているひとがたくさんいます。


なぜ、過度の飲食、拒食、喫煙、無謀運転 問題のあるコミュニケーション・・・・、ひとは、意識や理性のレベルでは、自分にとってよくないと判っていることを繰り返すのでしょうか?
そこにはメリットがあるからです。


たとえば、前回お話したように、幼児期の欲求不満を解消する」というメリットもあります。
「幼児期の欲求不満解消>給与」の場合、給与があがってもモチベーションがあがりません。


ですから、管理者は、個人個人の求めているメリットを知る努力が不可欠です。知った上で、それがどんな影響を与えているか知ることは不可欠です。
たとえば書類の報告が遅く、そのために上司から繰り返し叱られているとしたら、遅れる事で見返りにメリットを獲得している可能性が高いのです。
繰り返し事故が起こる場合、繰り返し退職者が出る場合、繰り返しクレームが出る場合、そこにどんな見返りが生じているのかを知る必要があります。


なぜなら、繰り返すべきことが違うからです。成果のあがることを繰り返してくれれば、飛躍的に成果はあがります。成果をあげる力がないわけでなく、求めている見返りが間違っているから成果があがらないのです。
その証拠に、目標を達成について、金銭的なインセンティブを用意すれば達成できるかというとそうはなりません。それを能力の不足と認識する場合が多いのですが、必要な能力が磨かれないのは、求めている見返りが違うからです。予想もしていない見返りの獲得に精を出しているので必要な能力が磨かれないのです。


普通、問題点が判っていれば、改善に向かいます。
しかし、なぜこのような結果になりましたか?」と問いかけても、繰り返し繰り返し「判っていたのですが、放置してしまいました」と報告する方が少なくありません。
なぜ放置しているには理由があります。
「改善<個人特有のメリット」の状態にあるからです。


人間は、自分に見返りのないことはしないものです。


たとえば、台所で雑に包丁を扱ったために、指を切ったとしたら、次からは慎重になります。
煮えたぎったやかんに触れたためにヤケドしたら、次からは慎重になります。
これがマネジメントの基本です。こどもでも実行していることです。


ところが、普通にはありえないことを繰り返す人がいます。
? >事故 の場合、個人特有のメリットが事故の苦痛を越える場合には、事故は何度でも繰り返すということです。
事故や様々なトラブルが繰り返し起こる場合、同じ危険が潜んでいます。
当人にすれば、意識や理性のレベルでは、望ましくない結果になるとわかっていても、他の何かでは、失敗を続けるだけのメリットがあるのです。結果的に見て、人はうまくいくことだけをしますから、失敗には何らかのメリットがあるのです。
不注意ですまされない危機がそこにあることを忘れないでください。


それにしても、個人各自が意識していないメリットを第三者が知ることはできるのでしょうか。
知る方法はそれほど難しくありません。
「再現性」に注目したら見えてきます。
毎日なにをしているかに注目したら判ります。


「成果をあげるために必要なことを優先的に繰り返し実行しているか」に注目してください。
「成果にl間計のないことを繰り返し実行している」のは、個人的な見返りに気を奪われています。
いくら会議をして目標を確認しても、その場を離れた瞬間に、たとえば幼児期の欲求不満解消を見返りに働いていたとしたら、正常な企業活動が行われません。
このような人の下にいる人は不幸です。獲得できるスキルが獲得出来ないままになるからです。


繰り返しなにを実行しているか、その量と質に注目してください。
量が少なく質も雑なら、間違いなく、求めるべきでない見返りを求めています。
会社として即応できるか、できないかは別にして、見返りに、給与ややりがいを求めるのは健全です。
本当のところ、見返りに、給与ややりがいを求める人ばかりだと、会社は応えることができるようになります。


成果の出る仕事の仕方は、目標達成するために、うまくいくことを繰り返し実行することです。
これを「継続は力なり」と言ってます。


再現性、繰り返し行動する、継続と力なり、つまり、なにをルーチンワーク(ルーティンワーク)にしているか、なにを優先順位の上位に持って来ているか、仕事の結果はこれで決まります。
だから、自分の部下がなにを見返りに仕事しているか、知りたければ、ここを見極めたら判ります。


一般に女子社員などは毎日ルーチンワークび徹していることが多いものです。
しかし実際はトップも上級管理者も、相当部分ルーチンワークしているものです。意識的にしていない場合も多いものですが、必要なことを欠かさずに実行することで成果を飛躍的にアップできます。


毎日コツコツと積み上げていかないと成果が出ないことを観ていると、未来が見えます。


● ? >実質的な見返り  
● ? <実質的な見返り  


「再現性」と「メリット(見返り)」
継続とは力なり、
なにを継続しているか、しっかり見直したいものです。


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「マートワンのビジネスアサーション・プロジェクト」は、自他尊重しながらWIN-WIN(ウィンウィン)な関係を構築する自律型結果志向恊働主義をご提案しています。

アサーションに似た言葉にはアサーション Assertion】【アサーティブ  Assertive】【アサーティブネス Assertiveness】があり、それぞれ微妙に意味が違います。


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アサーションがいまほど問われる時代はありません。厳しい経済状況、精神性の崩壊、価値観の混迷などに切り札として機能するのは、アサーション、アサーティブ、それを職場に活かすことで得られるメリットをご紹介しています。

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どうして違う認識が生じるのか「職場の人間関係という問題」

アサーションを実現するために

アサーションを実現するには、自他肯定が基本です。しかしアサーティブなコミュニケーションが苦手な人がたくさんいます。

ある状況を肯定的に認識する人もいれば、否定的に認識する人もいます。
つまり、私たちは出来事をあるがままに見ているのではなく、自分のあるがままに出来事を見ていることを意味します。

それは、認識の仕方が現実的で柔軟であればあるほど、他者とのコミュニケーションは建設的で発展的なものになりやすいことを意味します、

いくら知識があっても、考え方が現実的でなく硬直化していると、建設的で発展的なアサーションなコミュニケーションは困難です。
ビジネスでは、IQ よりもライフスキルが大事であるという意味もここにあります。


アサーションな関係を発展させるために欠かせないアサーティブなモノの見方をする方法について、DESC法の使い方をお話しました。
さらに事例をご紹介しますが、その前に、同じ出来事に対してどうして違う認識が生じるのか、もう少し掘り下げてみます。



アサーションでない、こんなケースの場合

たとえばこういう状況があるとします。どこの会社にも発生する事例です。

ミスをしたことで上司が怒鳴ります。不機嫌な態度が気になり悪いなと思いながら、一応後始末はするようにしていますが、後始末に追われて、やる気が起こりません。
ミスした自分が悪いのでミスしないように気をつけていますが、どうすればすっきりした形で仕事ができるようになるでしょうか。

こういう問題があったとします。この対策について、お話します。

結論から言うと、ミスはミス、上司の怒りは上司個人の問題であるため気にせず、迅速に責任を持ってミスの処理をしてださい。以上で解決します。

では次に、どうしてこれで完結するのか、その理由を説明していきます。

まずミスの責任と、上司に怒りを分けて処理しましょう。

ミスの責任を引き受ける権利はミスした当人にあるので、積極的に引き受けて責任を果たすようにしてください。
上司の怒り、不機嫌は、ミスと関係ないことに注目してください。


■どこまでが自分の責任なのか

上司が不機嫌な態度をしていても気にしない人もいれば気になる人もいます。
同じ状況でも感じ方が人によって違うのはなぜでしょう?

それは、私たちの感情が、事象や出来事そのものによって、決められるのではなく、私たち個人それぞれが身につけた特有の「ものの見方」や「考え方」、つまり認識の仕方によって決まっているからです。

自分の感じることは"自分自身のもの"であって、相手の感じていることも"相手自身のもの"です。つまり人と人の間には、明確な境界があるということを意味しています。

この「境界」の存在を理解したうえで意識していないと、自分の感情と相手の感情が入り乱れ、自分の感情を相手の感情と錯覚してしまうことが起こります。
境界が認識できないと、たとえば不機嫌そうな上司を見ると気になったり、怒鳴っている上司を見て悪いなあと感じたりするわけです。

しかし、先に話したように、そのこと自体への責任はあっっても、上司の感情は上司個人のものなので責任は終えないのです。
相手からの言語メッセージには返答のしようがあります。しかし非言語メッセージにどう答えたらいいのか、なかなか答えにくいものです。明らかに怒っている場合には、「ミスして申し訳ありません」と謝ることはできます。問題は言葉にして謝っても、相手が態度を変えない場合です。
この場合も、気にすることはないのです。
何度も言いますが、相手の感情は相手のものなので、こちらが気にすることではありません。


アサーションを求めて:それでもすっきりしない場合、どうしたらいいのか

この問題について、どうしたらいいのか、念入りにご説明したいと思います。
これから説明することは、職場の人間関係という、どこの職場でも問題になるテーマと深く関連しています。


さて、それでも気になる場合、いったいどんな問題が潜んでいるのか。
コミュニケーションは言語だけでなく、表情や態度も含めて行っていて、言いにくいと感じたことほど非言語なメッセージでコミュニケーションすることが多いものです。

そこで、自分が責任を感じるべきか、そうでないかの判断をどうすればいいのか。

もし自分が相手から揺れ動く感情を感じた場合、その場に居合わせた者として、相手の不機嫌や怒りを引き起こす刺激を与えたかもしれませんが、感情は相手自身が自分で生み出しているのです。感情は相手のものであって、どのように感じるかは相手次第です。
自分がコントロールできることではないのです。
同じように自分の感情について、相手に責任を求めることはできないのです。

この説明で分かっていただくと、問題は解決します。
しかし、実際には、分かったようで、実はなかなか理解されないようです。
頭では理解出来るけれど、身体の芯の部分で、ストーンと腑に落ちるところまでいかないケースがあると思います。

腑に落ちない理由は、実際には感情はコントロールできるという体験から抜けられないからです。
赤ん坊が泣いているとき、親は懸命にあやします。大人になってもこの関係を再現していることはありませんか。
再現は、カップルに多く見受けられますね。親しい関係には「再現」を多く発見できます。

こどもと親の関係は文字通り、一心同体です。体外に出たときから、ゆっくり時間をかけて分離していきます。
親とは身体も意識も感情も全く別な人になることを目標にしているのが子育てです。
親しい関係が間違いを起こしやすいのは幼児返りに親近感を感じてしまうからです。それには理由があります。

人間には親の心、大人の心、子供の心の三つがあって、状況で使い分けながらコミュニケーションしています。
子供の心には、無邪気な子供と、従順な子供があります。
楽しいコミュニケーションは、無邪気な子供の心を使っているときです。
両者が同じように、無邪気な子供の心を使ってコミュニケーションしているときは互いに楽しいはずです。
しかし片方が、従順な子供の心を使っている場合は、状況は変わります。そこには上下関係、強者と弱者の関係が生じます。仕事の現場では多いケースです。

親がこどもの感情をなだめようとする場合、強者が弱者を守ろうとしていますが、従順な子供の心を使って相手の感情を変えようとする場合は、弱者が強者を守ろうと働くことになります。
これは歪んだ人間関係です。歪んだ人間関係では相手の価値の値引きが起こっていて、人権の無視が働いています。

日本では、昔から「親しき仲にも礼儀あり」と戒めてきました。
親しい関係では、悪気がない、甘えを根拠にして、人権の無視が起こりやすいのです。
つまり強者が、幼児体験において十分甘えたらなかった不満から、身近な相手との間で無邪気な関係を再現したいと感情的な交流を求めてしまうのです。


しかし、大人ですので赤ん坊のように甘えるわけにはいきません。 そこでプンプン、ツンツンしたりで、自分の気持ちをなだめるのは自分の責任だと非言語でメッセージしてくるのです。先に話したように自分の責任範囲でないと割り切れない人の場合にはたまらなく居心地が悪くなるのです。
このようなメッセージを適切に処理できない側にも問題があります。
やはり甘えたい欲求が満たされていない同じ穴のムジナだからです。
相手の感情を処理することに躍起になるのは、実は自分が温かい交流という見返りを求めているからです。

これがピシャとはまって迎合してしまうと「共依存」の関係になります。行き着くところは共倒れです。
互いに甘え合う関係が、自立が基本の大人社会のシステムに適合することはあり得ないからです。

ですから対策は、相手の感情を自分がどのように受け止めようが、相手の感情に反応しないということしかないのです。
しかし私は、その注文は酷だと思います。感情を受け止めてしまう以上、気にするなというのはハードルが高いからです。
そこで私は、「相手の感情に注目して、自分がなにをするかを考え行動する」ことをおすすめしています。

こう言うと、「アレっ、相手の感情を気にするなと言ったばかりじゃないか」て思われるかも知れません。
実は、問題の核心は、相手の感情でなく、自分の感情の処理の仕方にあるのです。

どういうことかと言うと、相手の感情を気にして行動するのではなく、相手の感情を気にした結果、自分が感情的になって自分の感情に注目して反応していることなのです。
つまり実際には、相手の感情に過度に反応した自分の感情に注目した結果、相手の行動を変えさせようとしているのです。
なぜなら見返り(メリット)を求めているからです。 相手の行動を変えさせてどんな見返りがあるのでしょうか?
実はそこにはほとんどの人が、自分でも気がついていない自分の人生を左右している重大な問題が潜んでいます。


共依存に観るノンアサーティブなメリット(見返り)

共依存の関係には、その問題がはっきり浮かび上がってみることができます。
同時に、共依存が破滅的な関係なのは、この点にあります。
どっぷり感情世界に浸って、当事者にも周囲にも、仲がよく見えたり感じたりしているけれど、実際には相手を観ているわけではなく、両者とも自分の感情に埋没して行動が起こらない関係だからです。

行動が起こらないのは、行動しないことが安心だと認識しているからです。つまり彼らは自分の感情世界に浸って安心という見返りを得ているのです。それが刹那的なものであっても、いまこの瞬間、安心ならいいわけです。ですから感情世界に浸っていることができなくなれば、その共依存の関係は破綻し、また別な共依存の関係を渡り歩くことをします。
大人社会のシステムに暮らしていて、行動が必要に届かなければ破滅しますが、それでも止まらないのは、行動しない心地よさ(実は本人の思い込みですが)が、安心をも上回っているからです。

見返りの仕組みを共依存という分かりやすい事例でお話しましたが、一般にこの見返りの仕組みは、もっと巧妙に行われていて判りにくくなっています。


アサーションな自分を求めて

健全な関係は、「相手の感情に注目して、自分がどのような行動をとれるか」に注目します。
これは本来の親子の関係と同じです。強者が弱者を守る関係です。サポートする思いやりの関係です。ホスピタリティです。

間違った関係は、(相手の感情に注目するように見えますが、実は)「自分の感情に注目して、相手がどのような行動をとるか」に注目します。ですから自発的な行動が起こりません。自分が思うことを話せないというのもこの部類に含まれます。
境界が曖昧になっているわけですが、曖昧になるのはメリットがあるからです。メリットは無難、安心、心地よいなど様々です。

ご質問のなかの「どうすればすっきりした形で仕事ができるようになるでしょうか。」という部分は、この問題なのです。
メリットと相手の不機嫌とセットになっているのがおもしろくないのです。
しかし相手の不機嫌が気になるのは、境界の乱れです。自分の感情と相手の感情が混ざり合って混乱しているのです。
「相手の感情に注目して、自分がどのような行動をとれるか」に注目した場合には、自発的な行動になります。
相手の感情に注目するけれど、相手に反応するのではなく、自分が自分の意志で行動するのです。自分の行動の責任は自分が引き受ける状態です。この状態には「境界」があります。


アサーションのために、主語は誰か

自分の行動の責任は自分が引き受ける状態にあると、主語が「わたし」になります。自分に主体性があるからです。境界があります。
自分の感情に注目して相手の行動を考えると、主語は「相手」になります。相手に従属しているからです。
「相手」を主語にした話し方をする時には、 境界がありません。

どんな場合も自分の行動は自分が選択して行動するしかできません。にもかかわらず相手が主語になるのは、相手に従属していることを意味します。

なぜ従属するのか、自分にも意識できない見返り(メリット)を期待しているからです。
自分でも意識できない見返りを求めている状態とは、主体性を失った依存によって得られるメリットであることを考えると、そのやり方はやめたほうがいいのは間違いのないことです。


■再現性

さて、この話のなかに気になる問題が潜んでいます。
「再現性」です。これについては、次回説明します。 




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「マートワンのビジネスアサーション・プロジェクト」は、自分と他者を同じように大事にしながら、WIN-WIN(ウィンウィン)な関係を構築する自律型結果志向恊働主義をご提案しています。

アサーションに似た言葉にはアサーション Assertion】【アサーティブ  Assertive】【アサーティブネス Assertiveness】があり、それぞれ微妙に意味が違います。

アサーション Assertion】遠い関係のものが近づくようにする活動
【アサーティブ  Assertive】自他ともに大事にする表現をする
【アサーティブネス Assertiveness】自他ともに大事にされた実感の持てるWIN-WINな関係性

アサーションがいまほど問われる時代はありません。厳しい経済状況、精神性の崩壊、価値観の混迷などに切り札として機能するのは、アサーション、アサーティブ、それを職場に活かすことで得られるメリットをご紹介しています。「マートワンのビジネスアサーション・プロジェクト」は矛盾のない世界をご提案します


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アサーション:ピンチな状況をDESC法を使って最適化する

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アサーションなビジネスを進めていく上で、ビジネスはコミュニケーション力でとするアサーティブな思い切りは重要です。
ビジネスでのコミュニケーションにおいて、 正しい主張をすればいいというのでは大人の仕事とは言えません。
アサーションな関係を構築できるにふさわしいことをしているかどうか。それはうまく行っているのか、そうでないのか。その見極めが大切です。

互いの目的、目標を達成できるように、 どうすればうまくいくかを基準にしてコミュニケーションを進めて行きます。
しかし、互いの事情から、思わぬ難題に直面することはどこにもあることです。
こんなとき、モノの見方を変える、考え方を変えるスイッチチェンジを使いますが、 その時に役立つスキルがDESC法です。


D=Describe(描写する)
E=Express(表現する)
S=Specify(提案する)
C=Consequences (結果を伝える)


DESC法は、以上の4つで構成されています。

では、参考までに、不適切なコミュニケーションを DESC法で好ましいコミュニケーションに置き換えてみましょう。


状況は次の通りです。

お客さまから見積の依頼があり、いままでの取引から好条件の見積を出しているが、 いつまでも決まらないまま、お客さまからは再見積の要求ばかりで4回目の見積依頼。
担当者はイライラしてかなり感情的になっています。
口から出る言葉も攻撃的なグチばかり。 不適切な言動が目立ち、モチベーションも下がる一方です。 放置しておくといい結果にならない可能性もあるという状況です。

現在、次にような表現が不適切に行われています。

D)描写=「いつも文句ばかり何度も見積、見積って、いい加減にしろよ」
E)表現する=「買う気があるのか」
S)提案する=「こっちだって忙しいなか、精一杯やってるのに」
C)結果を伝える=「気に入らないのなら、ヨソで買えばいいんだ」


これでは、コミュニケーションを断絶を要求しているように思えます。
この状態を、DESC法でスイッチチェンジして、 契約成立に向かってモチベーションを高めるように変えていきます。


D)描写=「今度で4度目の見積だ」
E)表現する=「価格も問題ですが、他に問題はありませんか」
S)提案する=「お困りのことや気になることをお知らせいただければ」
C)結果を伝える=
   「私は勿論、全社あげてご満足いただける仕事をやってのけます」


先のD→E→S→Cと比較してみてください。
随分違いますね。同じ状況なのに、全く違うアプローチになります。
最大のターニングポイントは、状況の描写です。
「いつも文句ばかり何度も見積、見積って、いい加減にしろよ」→「今度で4度目の見積だ」
随分違いますね。
後者は、 一切の感情を排して、ただ状況だけを客観的にドライに描写しています。


●D)描写=客観的に状況や事実を述べる
 

同じ状況を描写するにしても、先にあげた不適切な描写の場合では、お客さまの言動に対して、 自分の憶測と解釈に感情をまぶして「いつも文句ばかり」と決めつけています。
お客さまには、見積もりの対象となった当該商品だけでなく、 何か別の要因もあって、再見積もりを要求している可能性もあります。
発注するつもりがないのなら見積もりを要求しないかもしれません。


客観的描写とは、相手を責めるのではなく、 状況や事実をありのままに伝えることです。
客観的な描写をする目的は、現実を共有し、 目的、目標を達成するための話し合いをする基盤をつくることにあります。


お客さまと担当者の間で、実際になにが起こっているのか、 状況を明らかにするためには、感情的な表現は禁物です。
感情を一切排して、勝手な憶測や解釈でなく、相手の状況や4回目の見積の背景を 客観的にシンプルな言葉で描写することが重要なポイントです。
適切に客観的描写をしてみると状況も違って見え始めます。


●E)表現=自分の意見や感じていることを表現する


不適切な例では、「買う気があるのか」とアグレッシブに相手のせいにしています。
それは「買うのが当たり前」という自分の都合に基づいた極端な考え方です。
相手は買おうとしているのに、障害で悩んでいるのかも知れません。
所詮憶測の域をでないままに相手を主語にしていると誤解が生じやすいのです。

 
不適切な表現は、相手に対する決めつけやレッテル貼りになり、自分の気持ちも荒んできます。
実際には、相手の事情を知ることは難しいかも知れませんが、 自分の勝手な想像から相手のアグレッシブになると、 成立する契約も否定されてしまうことになりかねません。
この場合、はっきりしていることは相手が困っているという事実です。


「価格も問題ですが、他に問題はありませんか」
見えない問題があっても、相手目線に立って、どうすれば役に立ってあげられるのかに集中すれば、
率直に尋ねればいいことだと気がつきます。


●S)提案=相手にしてもらいたいことを提案する時は、気持ちとして伝えるのではなく、 明確な言語にすることで「提案」の形に整えます。


自分が置かれた状況について、自分がどんな気持ちになっているか率直に伝え、
自分を理解してもらうようにします。


”なぜそうなのか、どんな気持ちがあるのか”
相手の感情に注目して言葉にして確かめます。
”それに対して自分がなにをどのようにしてあげられるか”
自分の行動に注目して提案します。


「ご注文がいただけると期待していましたが、 なにかお困りのことがあるようで大変ですね。
 問題解決のために何でもご遠慮なくお知らせください。」
提案は、相手に選択権がありますので、相手に選択の余地を与える表現が原則です。


言葉に出さないにしても「買う気があるのか」と感情的になっていると、 態度、表情、言葉のどこかに出てしまいます。
意識をすっかり変えて、率直、誠実に伝えることが大切です。
そうでないと相手は何度も見積を要求して申し訳がないと思うより、 決めつけられたという不満になってしまうと、他所に注文することになることもあります。


「ご注文がいただけると期待していましたが」とアサーティブに表現することが、 相手の救いになります。
救いになるのは「問題解決のために何でもご遠慮なくお知らせください。」と セットになっているからです。
ノン・アサーティブになって「ご注文がいただけると期待していましたが」を省くと、 問題解決のために何でもご遠慮なくお知らせください。」だけになるので、 相手は何度も見積を要求していることを重なってプレッシャーを感じます。



●C)結果=提案したことが実行されたとき、されない場合の結果を伝えます。


提案を相手が受け入れてくれたら、
「こんないいことがあります」ということを伝えるようにしましょう。


相手はこちらのために注文をくれるわけではありません。
「何度も見積出して、ウチもやれるところまでやっているので必ずお願いしますよ。」
というような言い方をされると、非難されているように感じます。


非難している気持ちがなくても、一方的に悪いと決めつけられると、 相手はいやになります。
これでは、WIN-WIN(ウィンウィン)な結果を考えることも、伝えることも困難になります。


DESC法を使えば、まったく違うアプローチになります。


「私は勿論、全社あげてご満足いただける仕事をやってのけます」と こちらの姿勢を明確に伝える事で、目的の共有を表明できます。
さらに 「費用だけでなく仕上がり面でのメリットなどもリストアップさせていただきますので、
他部署との折衝もしやすくさせていただきます」 というようなことも伝える事もできます。


目的、目標、問題を共有することが、WIN-WIN(ウィンウィン)の手がかりになります。 


以上、アグレッジブな不適当な状態を、 DESC法を使ってアサーティブに最適化するサンプルを簡単にお話しました。 DESC法は、DESCの順に述べなければならないということはありません。
状況に応じて、順序を変えてもいいのです。



DESC法の使い方は、どんどん使うほどスイッチチェンジ が上手になります。


日頃から練習を積んでおくことが重要な場面で役に立ちます。
社内で遅刻した人に注意する場合、報告書の提出が遅れた場合など、 練習の場面はいくらでもあります。


客観的に観察し描写するときには、自分の気持ちや想像を交えないこと、
そして"伝えるべきメッセージには自分の気持ちとして伝えられるように練習しておきましょう。


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アサーション:思い込みスパイラルからの脱出

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図のように、起こった状況を、どう認識するかで、行動が決まります。
まったく同じ事象が起こっても、人によって反応が全く違うのは、なぜでしょうか?
「観る→なぜ→どうする」の手順は同じでも、その内容が違いすぎるのはどうしてでしょうか?


あるものはピンチと認識し、あるものはチャンスと判断する。
起こった事象をどのように認識するのかは個人の判断で、認識の仕方で行動が決まる。
成功体験に復讐されるという言葉がいかに認識が思い込み、固定観念、主観に左右されるかを物語っています。


人は考え、判断し、行動を選択するときに、何かを基準にします。個人的な思い込みを基準にするか、原理原則を基準にするか、その選択で、行動が変わり、結果も変わります。
過去の出来事でフレームワークするのと、原理原則でフレームワークするのには大きな隔たりがあります。


過去の出来事によって作ったフレームを通して事象を認識し、世の中を見続る限り、過去が自分たちの現在と未来の両方を支配し、決定するのを受け入れたことを意味します。
それは過去の再現を繰り返すことを意味します。成功体験に復讐されてしまう理由もここにあります。自分の思い込みは現実であることを確信し続けます。


新しい事象が起こったとき、過去が良いか悪いかといったことは、マネジメントする時に問題にすることではないことを絶対に忘れてはいけないのです。


自分が立てた仮定をテストすることもなく、絶対の真理であるかのように使えばどうなるか?
思い込みという間違った仮定は、「観る→なぜ→どうする」を機能停止させ間違った判断を導きます。こうした態度をとり続けることで、事実ではなく、テストもしていない認識で自分だけの現実を作りだしていないか用心深くチェックする必要はいつどんな時にもあります。


間違った仮定を立ててしまうことで、するべきこと、してはならないことについて間違った判断を下すのは当然の結果なのです。その結果、「わたしの現実」が作られます。作ったのはもちろん「わたし」なのですが、それに気がつきません。
この態度が、問題をさらに間違った方向に導きます。


自分が作り出した現実を現実として扱えば、改善はほぼ永遠に不可能になります。
注意すべきことは、「わたしの現実」は固定もので万人の現実ではないことです。


ビジネスはコミュニケーション力です。というのも、人は「わたしの現実」に疑うこともないままに振り回され、コミュニケーション力を弱めてしまうからです。
ビジネスを成功させる上で、もっとも重要な能力は「客観的に自分を観る能力」です。この能力はIQ以上に重要です。


私たちのフレームがもっともひどく歪められるのは、起こった事象を認識する時よりも、自分自身を見る時です。
自分自身を現実的・客観的に見ないために、自分がどんなかたちで仕事上の経験に影響を与えているか、気がつかないままです。
そのために、自分がその出来事の原因を作っているということには見逃してしまい、起こった事象に対処する際に、新たに問題を作っている思い込みの連鎖が止まらないのです。
その証拠は、同じ業種であっても、その会社の風土やコミュニケーションの方法も全く違うという真実に観る事ができます。


自分が認識していないことは変えようがないという事実には疑いの余地はありません。
たとえば算数の苦手な人が、自分は算数が苦手だ。ということを認めない限り、算数の勉強の必要性を認める事はなく、勉強の機会は自らつみとります。認めない限りずっと苦手なままです。否認の背景にある最も厄介な問題は、単に苦手ということでなく、自分の能力不足を信念のレベルで否定していることです。自分が自分を叩きのめしているのです。


思い込みの怖さを考える意味で、思い込みの際立った事例を挙げましたが、この態度によって自分がどんなかたちで仕事上の経験に影響を与えているか、見逃している見本なのです。


物事の見方を柔軟に変えるスイッチチェンジができる条件は、自分に対して誠実、率直、対等(卑下しない)、自己責任(自分が決める)という人間尊重の精神を発揮することです。自分が決めるとはおそらく会社に入社するより遠い以前に誰かによって思い込まされた過去との決別を意味しています。
自分を尊重することが他者を尊重する動機になります。WIN-WIN(ウィンウィン)へのはじまりです。


交渉で難題に直面したとき、ギブ・アンド・ギブンを念頭に、どうすれば相手を勝者にできるのか、まず相手を優先して考えてみましょう。
アサーションな関係を作る、 WIN-WIN(ウィンウィン)を求めることが、どれほど自分や周囲のひとの救済になるか、じっくり考えて自分のものにしたいものです。
アサーティブな自分になろうとすることが経験に与える影響は 大きいのです。


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アサーション:スイッチチェンジのスイッチの入れ方

グラスの中に水が半分。
「もう半分しかない」と思いますか、「あと半分ある」と思いますか?


事実とは認識する人の意識で全く違ったものになる という事例です。
認識を変えると行動も変わります。行動が変われば結果も変わります。


しかし、認識を変えると行動も自然に変わるかというと、そうはいかないことに注意が必要です。

認識を変えると行動も変えるために、スイッチチェンジを使います。
うまくいっていない状態を、望む結果を手に入れる状態に変えるためにスイッチチェンジは、欠かせない作業なのです。


「もう半分しかない」と認識したことを「あと半分ある」に変えるのも一例です。
しかし変えたからと言って、結果が変わることはありません。
結果が変わるのは行動を変えるからです。


さて、ここからが重要です。


モノの見方を変えるとは、 行動を変えるために認識を変えるということであり、それには必ず、なにをどうするかという付帯的なプランが付随していないと、モノの見方が変わったと言ってはいけないのです。



たとえば、私たちは目標達成のためになにをしなければならないかについておおむね知っています。


しかし、ナニをしなければならないと、そのためになにをどうするかということは似ていて違います。
「そのためになにをどうするか」が分かっていないと行動ができないのです。


私たちはlこうして意識と行動がバラバラに解体された状態で、方向性だけは合っているというカオスに陥ってしまいます。


「あと半分ある」「もう半分しかない」と意識したときに、ではどうするの?という質問を投げかけ、その質問に誠実に回答しなければなりません。

「あと半分ある・・・・それを活かすには、今日から100件のアプローチをする」というようにつながってスイッチチェンジが成立します。


「あと半分ある・・・・だから頑張れ」と言うのは、「もう半分しかない・・・だから頑張れ」と言うのとなにも変わりがありません。これではスイッチチェンジになりません。


「もう半分しかない・・・・それを活かすには、今日から100件のアプローチをする」という言い方にはなりませんが、「あと半分ある・・・・それを活かすには、今日から100件のアプローチをする」という言い方はあります。


このように、ナニをしなければならないと、そのためになにをどうするかがあるのが、スイッチチェンジであって、だからスイッチチェンジは力を発揮します。


スイッチチェンジのスイッチがどのように入るか、分かっていただけると思います。


ここから、さらに重要なこと


スイッチチェンジには、必ずふたつの回答を用意するようにします。
ひとつは建設的な意見。
もうひとつは建設的な意見の邪魔をするようなことをしない意見です。
この2つが揃って スイッチチェンジはスイッチが入ります。


http://www.martone.co.jp/a/a_jpg/sw_change.jpg


スイッチチェンジについて、もう一度、おさらいします。


事実を認識する際、いろんな認識ができるが、目標達成に最も最適な認識を選ぶ(=なにをしなければならないか)


そのために なにをどうするかを決めて実行する


併せて、それを邪魔しない行動を決めて実行する



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思い込み VS スイッチチェンジ

人には、ぞれぞれにいろんな思い込み、決めつけがあるものです。

思い込みではありませんが、正月の雑煮も地方によって味付けも具材も違います。
つまり、育った環境の独自性で、人によって思い込みがあります。

思い込みが他者にあるように、自分にもあると認識しておくことが、フレキシブルな自分を失わないコツでもあります。

因に、どのような思い込みはあるのか、ピックアップしてみます。


▼ 思い込みの事例

● 失敗してはならない
● 賢くなければならない
● 人を傷つけてはならない
● 上司は〜であるべきだ
● 部下は〜であるべきだ
● 男(女)は〜であるべきだ・・・等等
    
これらはどれも、人によって違います。
たとえば 上司は〜であるべきだ。と言われても組織の状況や事象によって変わってきます。
結局、「あんたが勝手に思っていることに過ぎない」のです。


このような思い込みは、スイッチチェンジを妨害します。
なぜなら、思い込みは、自己否定的な考え方を背景にしていることが多く、障害があると、アサーティブでない面を強調してじぶん力を弱めようとします。
思い込みは、まるで幼児返りするかのように、無力感を引き出し、他者の責任にする働きを引きf出してしまいます。
思い込みはアサーション権を自ら放棄するような働きをすることで、自律性を破壊します。


皮肉なことにスイッチチェンジは、うまくいかない場合に必要になるものです。
うまくいかないから、あるいはもっとよくするために、モノの見方を変えたり、やり方を変えることを検討するわけです。
モノの見方を変えるとは、心をもっと掘り下げる、もっと拡大することです。
つまり、より成長することを自分に求めるわけで。幼児返りと逆の働きを求めます。


目的、目標を達成するために、自分はすべてを知っているわけではないと謙虚で素直な気持ちになることがスイッチチェンジを可能にします。


思い込みは、進路を邪魔をする大きな岩のようなものです。「これ以上進ませないぞ」と難題と一体になって妨害します。どうあがいても動かない、もと来た道を戻れと退行を求める働きをします。
成長したいあなたは、退行せずに突破しなければなりません。それがスイッチチェンジです。
では、横から通ります、くぐって通ります。というように避けて通ればいくらでも道はあるということなのです。スイッチチェンジを使うとき、 とても自由な自分がそこにいます。


思い込み VS スイッチチェンジ、まるで忍術合戦のようで、楽しいではありませんか。



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相手目線を忘れたらスイッチチェンジはできない

アサーションを標榜する者にとって危険はマンネリに潜んでいます。
わずかな油断はアサーティブな態度を忘れさせ、日常の多忙の淵にWIN-WIN(ウィンウィン)の理想を埋もれさせるのは容易いことです。


日々の営業に慣れてくると、いつの間にかアサーションな営業の在り方や店が見えなくなっていることがあります。
こんなものだろう、これでいいと勝手に思い込んでしまうことが少なくありません。
そこまで思わなくても関心が目標達成に偏り、本来のあるべき姿を忘れてしまうことは多いものです。


しかし、目標達成にこだわるほど、基本を大切にして、あるべき姿の基準をあげて、よりアサーションな関係をめざしお客さまの信頼に応えられるようにするものです。


誰もが知っているように、お客さまの気持ちや視点を失うと、本当にお客さまに喜んでもらえる営業はできなくなります。


アサーションな関係を実現するためには、アサーティブな態度を大事にしたいものです。ですから、営業している人や店で勤める人なら、パート、アルバイトの人でも、お客さまの気持ちが分からないとは言ってはいけません。

分からないはずがないからです。なぜなら私たちは生活者です。毎日、お客さまに変わっています。いつでもすぐに変わることができます。
牛丼屋のお客さま、スーパーのお客さま、コンビ二のお客さま、病院のお客さま、いろんなお客さまになります。


「お客さまとしてどんな扱いを受けたか」という問題は、「人間としてどんな扱いを受けたか」と、同じ問題なのです。
だから、分からないと言うのは、率直、誠実。対等、自己責任を欠いた態度で、アサーティブではありません。


時にはアンケートやモニター調査で、お客さまの声を聞く必要もあります。
しかし、まず、自分の内側にあるアサーションな力に光を当てましょう。自分が自分の会社や店をお客さまとして体験してみてください。
誰もが利用したい、注文したい、任せたいと思うかどうか、お客さまとして体験してください。


お客さまの目線でオフィスや店を見渡す習慣を身につけてください。
明かりは適切か、空調はどうか、椅子から見える物は見やすいか、見えてはいけないものが見えていないか。安心と楽しさを妨害するものはないか、確認してみてください。
お客さまの椅子に座ってみるというだけで目線が変わり、気づくことも多いはずです。


そしてビデオやカメラにおさめて、もう一度見直してください。いかに自分のナマの視線で観た光景とレンズを通したものが違うかに気をつけてください。
人間の目では見えていない部分が、いかの多いかに気がつきます。観ているようでも一度でキャッチ出来る情報はわずかであることに驚くはずです。

この事実がすべてを語ります。分かっているようでも、実は分かっていないことが多すぎるという事実を思い知らされます。

それでも気がつかない人がたくさんいます。固定観念、こんなものだろうという思い込みが目を曇らせるのです。



ある店のことです。
なんともくすんだ感じの店がありました。
小売サービス業の印象から遠く離れて、「施設がある」という印象でした。
改装によって、以前と全く違う建物になりました。客数も大幅に増え活気がみなぎるようになりました。
ところが日に日に、客数は減り、活気も乏しくなり、以前と同じように「施設がある」という印象に変化していきました。どんどん改造前のくすんだ寒々とした印象に近づいていきました。
問題はなんでしょうか?同じ人が同じように頑張っているからです。その頑張り方は明らかに間違っている証明です。

彼は買い物に行かないと自慢気に言います。「男がそんなことできるか」と言わんばかりにです。お客さまのことは分からないと言いませんが、分かろうとしていないのです。食堂や居酒屋には行くし、ディズニーランドには何度もこどもさんを連れて行っています。彼にも学ぶ機会は普通にあるのです。

「ディズニーランドで感動しませんでしたか?」と尋ねると、「感動した」と反応します。おそらく「こんなもの」というモノの見方に終始しているのでしょう。
つまりディズニーランドは感動できる場所という思い込みがあり、自分の店を見る目は「こんなもの」という思い込みがある。早い話、自分の価値観で生きていないのです。
流行を追うことが他人の価値観を追いかけているように、思い込みで暮らすことも自分の価値観で生きていないのです。自分も相手も大事にしていない。
改造しても、改装しても、店がくすんでしまう理由が見えますね。


その一方で、逆のケースもあります。古い自宅兼店舗のクリーニング屋さん。おばさんがひとりで切り盛りしていますが、余計なものは置かずに、すべての什器備品がピカピカに光っています。どれも使い込んだ古いものばかりです。店に入った途端に元気になります。自分と相手を同じように大事にしている。人柄の良さを感じて、この人なら絶対の嘘はつかないだろうと無条件降伏です。



お客さま目線、つまり、相手目線で考えることに興味がないとは恐ろしいことです。
日々の営業に慣れてくると、いつの間にか自分の店が見えなくなっていることがあるとは、相手目線で考えないようになることです。
相手目線で考えるとは。マナーや礼儀、エチケット。相手にとって気持ちがいいかどうかの問題なのです。ここを落としてしまうと、店は店でなくなります。


「ビジネス・アサーション 男前プロジェクト」の中心にあるのは、スイッチチェンジです。つまりモノの見方はひとつでなく、いくつもある、いろんな角度から観てみよう。そこにWIN-WIN(ウィン・ウィン)の鍵がある。なぜWIN-WIN(ウィン・ウィン)の鍵があるかと言うと、可能性を閉じないからです。
それに比べて、「こんなものでしょう」というモノの見方は、アサーションな関係はもちろんのこと、あらゆる可能性を自ら拒絶する態度です。
相手目線を忘れたらスイッチチェンジはできなくなります。



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